トラブルQ&A

労務・法律 Q&A

このコーナーでは、医療・看護の分野に限定せず、会員の皆さまの日常生活など身近なところで起こりそうな法律問題や、職場で知っておくと便利な労務問題(社会保険・労働保険など)を取り上げてQ&A方式でわかりやすく紹介します。このコーナーは、月1回の間隔で更新する予定です。法律問題や労務問題について知りたいこと、疑問に思ったことなど、取り上げてほしいテーマがございましたら、下のメール送信ボタンからご投稿ください。リクエストの多いテーマを選んでQ&A形式で掲載していきます。なお、頂いたメールに個別に回答する仕組みではございませんので、あらかじめご了承下さい。

労務Q&A part 1

労働者災害補償保険(労災保険)において保険給付の対象となる「業務災害」について、どんな場合の事故が給付の対象になるのか教えて下さい。

業務災害とは、業務が原因となった災害ということであり、業務と傷病等との間に一定の因果関係があることをいいます。この業務災害に対する保険給付は、労働者が労災保険が適用される事業場(法人・個人を問わず一般に労働者が使用される事業は、適用事業となります。)に雇われて働いていることが原因となって発生した災害に対して行われるものですから、労働者が労働関係のもとにあった場合に起きた災害でなければなりません。これらをまとめると、次のとおりとなります。

業務上の負傷について

(1) 事業主の支配・管理下で業務に従事している場合

これは、所定労働時間内や残業時間内に事業場内において業務に従事している場合が該当します。この場合の災害は、被災労働者の業務としての行為や事業場の施設・設備の管理状況などが原因となって発生するものと考えられるので、特段の事情(私的行為や故意に災害を発生させた場合など)がない限り、業務災害と認められます。

(2) 事業主の支配・管理下にあるが業務に従事していない場合

これは、昼休みや就業時間前後に事業場施設内にいる場合が該当します。出社して事業場施設内にいる限り、労働契約に基づき事業主の支配管理下にあると認められますが、休憩時間や就業前後は実際に業務をしているわけではないので、行為そのものは私的行為です。この場合、私的な行為によって発生した災害は業務災害とは認められませんが、事業場の施設・設備や管理状況などがもとで発生した災害は業務災害となります。

なお、用便等の生理的行為などについては、事業主の支配下にあることに伴う行為として業務に付随する行為として取扱われますので、この場合には就業中の災害に準じて、業務災害として認められない場合を除いて、施設の管理状況等に起因して災害が発生したかというものと関係なく業務災害となります。

(3) 事業主の支配にあるが、管理下を離れて業務に従事している場合

これは、出張や社用での事業場施設外で業務に従事している場合が該当し、事業主の管理下を離れてはいるものの、労働契約に基づき事業主の命令を受けて仕事をしているわけですから事業主の支配下にあり、仕事の場所はどこであっても、積極的な私的行為を行うなど特段の事業がない限り、一般的に業務に従事していることから、業務災害について特に否定すべき事情がない限り、一般的には業務災害と認められます。

業務上の疾病について

業務上疾病とは、労働者が事業主の支配下にある状態において発症した疾病のことを意味しているわけではなく、事業主の支配下にある状態において有害因子にばく露したことによって発症した疾病のことをいいます。
例えば、労働者が就業時間中に脳出血を発症したとしても、その発症原因に足り得る業務上の理由が認められない限り、業務と疾病との間には相当因果関係は成立しません。一方、就業時間外における発症であって、業務上の有害因子にばく露したことによって発症したものと認められれば業務と疾病との間に相当因果関係は成立し、業務上疾病と認められます。
一般的に、労働者に発症した疾病について、次の3要件が満たされる場合には,原則として業務上疾病と認めれられます。
(1) 労働の場に有害因子が存在していること

この場合の有害因子は、業務に内在する有害な物理的因子、化学物質、身体に過度の負担のかかる作業態様、病原体等の諸因子を指します。

(2) 健康障害を起こしうるほどの有害因子にばく露したこと

健康障害は、有害因子へのばく露によって起こりますが、当該健康障害を起こすのに足りるばく露があったかどうかが重要です。このようなばく露の程度は、基本的には、ばく露の濃度等とばく露期間によって決まりますが、どのような形態でばく露を受けたかによっても左右されるので、これを含めたばく露条件の把握が必要となります。

(3) 発症の経過及び病態

業務上の疾病は、労働者が業務に内在する有害因子に接触し、又はこれが侵入することによって起こるものなので、少なくともその有害因子へのばく露後開始後に発症したものでなければならないことは当然です。
しかし、業務上疾病の中には、有害因子へのばく露後、短期間で発症するものもあれば、相当長期間の潜伏期間を経て発症するものもあり、発症の時期はばく露した有害因子の性質、ばく露条件等によって異なります。従って、発症の時期は、有害因子へのばく露中又はその直後のみに限定されるものではなく、有害因子の物質、ばく露条件等からみて医学的に妥当なものでなければなりません 。

<社会保険労務士 半沢公一>

男女雇用機会均等法が改正され、来年度(平成19年4月)から施行されるとのことですが、改正内容のポイントを教えて下さい。

1986(昭和61)年に男女雇用機会均等法(以下「均等法」といいます)が施行されてから20年が経過しました。これまでも幾度か改正を重ねて強化されていますが、今回は、男女双方の性差別を禁止することや間接差別を禁止することなどが盛り込まれたことが注目されます。

以下、改正のポイントを説明します。

1. 男性に対する差別も禁止

現行法において規定されている女性に対する差別の禁止が男女双方に対する差別の禁止に拡大され、男性も均等法に基づく調停など個別紛争の解決援助が利用できるようになります。

2. 禁止される差別を追加、明確化

現行において禁止されている差別(募集・採用、配置・昇進・教育訓練、福利厚生、定年・解雇)に加えて、改正法では、降格、職種変更、パートへの変更などの雇用形態の変更、退職勧奨、雇止めについても、性別を理由とした差別は禁止されます。また、配置については、同じ役職や部門への配置であっても権限や業務配分に差がある場合異なった配置となり、性別を理由とした差別は禁止されます。

3. 間接差別が禁止

外見上は性中立的な要件でも、省令で定める一定の要件については、業務遂行上の必要などの合理性がない場合には間接差別として禁止されます。追って、省令で定めることになりますが、以下のような内容が想定されます。
(1) 募集・採用にあたり、一定の身長、体重又は体力を要件とすること
(2) コース別雇用管理制度における総合職の募集・採用にあたり、全国転勤を要件とすること
(3) 昇進にあたり転勤経験を要件とすること

4. 妊娠・出産等を理由とする不利益取扱いの禁止

妊娠・出産・産前産後休業の取得を理由とする解雇に加え、省令で定める理由による解雇その他不利益取扱いも禁止されます。
省令の内容では、労働基準法の母性保護措置や均等法の母性健康管理措置を受けたことなど、また、不利益取扱いの具体的内容については、退職勧奨、雇止め、パートへの変更などが想定されます。

5. 妊娠中や産後1年以内に解雇された場合

妊娠中や産後1年以内に解雇された場合、事業主が妊娠・出産・産前産後休業の取得その他の省令で定める理由による解雇でないことを証明しない限り、解雇は無効となります。

6. セクシュアルハラスメント対策

職場でのセクシュアルハラスメント対策については、これまでも配慮が求められてきたところですが、男性に対するセクシュアルハラスメントも含めた対策を講じることが義務となります。 対策が講じられず是正指導にも応じない場合企業名公表の対象となるとともに、紛争が生じた場合、男女とも調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。なお、この規定は派遣先の事業主にも適用されます。

7. 母性健康管理措置

現行法では、事業主は、妊産婦が保健指導又は健康診査を受けるために必要な時間を確保するとともに、妊産婦が保健指導又は健康診査に基づく指導事項を守ることができるようにするための措置(時差通勤、休憩回数の増加、勤務時間の短縮、休業等)を講ずることが義務となっています。今回の改正により、こうした措置が講じられず是正指導にも応じない場合企業名公表の対象となるとともに、紛争が生じた場合、調停など個別紛争解決援助の申出を行うことができるようになります。

8. ポジティブアクションの推進

ポジティブアクション(過去の雇用管理の経緯から男女労働者間に事実上生じている格差を解消するため、事業主が行う自主的かつ積極的な取組み)を行う事業主に対する国の援助が強化されます。

9. 過料の創設

現行法では罰則は規定されていませんでしたが、改正法においては、行政指導に対し報告をしない又は虚偽の報告をした場合は、事業主は過料(20万円以下)に処されることになります。

<社会保険労務士 半沢公一>

私の勤務している会社の就業規則をみると、休日は、毎週日曜日と会社が指定する土曜日、国民の祝日及び年末年始(12/29〜1/3)となっており、休暇は、年次有給休暇や特別休暇などが記載されています。休日と休暇は意味が違うのでしょうか。教えて下さい。
休日と休暇は、法令上意味が異なります。それぞれについてみていくと共に、休日について、「振替休日」と「代償休日(代休)」の違いを説明します。
休日とは
休日とは、労働契約で、労働の義務を課さないことを契約した日のことをいいます。労働基準法第35条では、原則として、1週間で1日、例外として、4週間で4日の休日を、労働者に与えるように義務づけられています。法律で定められた休日ですので、これを「法定休日」といいます。
これに対して、会社(使用者)が就業規則等により定めた休日を所定休日といいます。所定休日は、法定日数を下回ることはできませんが、法定以上であれば任意に決めることができます。
あなたの会社では、毎週日曜日が休日となっていますので、法定をクリアしていることになります。なお、法定休日が日曜日なのか、土曜日なのか、又は別に定めた日なのかは不明ですが、一般的に日曜日を法定休日にしている会社が多いようです。所定休日のうちどれが法定休日に該当するかは、会社に確認して下さい。
休日の振替と代休の違い
「休日の振替」とは、就業規則で特定した休日(所定休日)に労働させることが必要となった場合に、あらかじめ(事前に)特定した他の日に休日を振替えることをいいます。実施する場合は、就業規則等に「休日の振替を行うことがある」旨を定めておくことが必要です。
「代休」とは、休日振替のように、あらかじめ休日を他の日と振替えることなく、就業規則に定めた休日に労働させたのちに、事後に「その代償としてその後の特定の労働日の労働義務を免除」して代わりの休日を与えることをいいます。休日労働させた日が法定休日に当たる場合には、3割5分増以上の割増賃金を支払わなければなりません。また、休日労働をしたことによって、その週の法定労働時間を超えた場合には、時間外労働割増賃金(2割5分増以上)の支払いが必要です。
  8/6(日) 7(月) 8(火)
<通常> 休日 労働日 労働日
<振替休日> 労働日 休日 労働日
<代休> 出勤 労働日 代休日
休暇とは
休暇とは、本来労働すべき所定の労働日に、労働する義務を免除された日又は時間のことをいいます。休暇には、法律上一定の要件を満たす場合に必ず付与しなければならない「法定休暇」と、就業規則等の定めに基づいて任意に付与する「任意(特別)休暇」があります。
法定休暇には、年次有給休暇、生理日の休暇、育児時間、公民権行使の時間、産前産後の休業、育児休業、介護休業があります。
休暇のうち、年次有給休暇以外の法定休暇及び任意休暇については、その賃金の支払の有無は、会社(使用者)と労働者間の任意の定めによります。

<社会保険労務士 半沢公一>

現在、勤務しており健康保険に加入しています。健康保険の保険給付について教えて下さい。

健康保険の給付は、病気・ケガ、出産、死亡に対して給付が行われます。被保険者本人に対しては療養や出産で会社に出勤できないときなどは生活保障的な意味合いで現金が支給されることもあります。以下、保険給付の主なものについて説明します。(平成18年10月から、法律改正により保険給付の一部が変更されますのでご注意下さい。)

療養の給付
病気やケガで病院や診療所に行って治療などをしてもらうことが療養の給付です。支払う料金のうち7割が現物給付として支払われ、3割が自己負担になります。なお、家族など被扶養者が治療を受けると「家族療養費」と呼びます。
具体的には、(1)診察、(2)薬剤または治療材料の支給、(3)処置・手術その他の治療、(4)在宅で療養する上での管理、その療養のための世話、その他の看護、(5)病院・診療所への入院、その療養のための世話、その他の看護となります。
入院時食事療養費
この給付は、入院した時の食事の料金から、患者が支払う標準負担額(1食分260円)を引いた額が現物給付として支給されます。
特定療養費
特定療養費には2通りあり、(1)大学病院などで受ける療養と(2)厚生労働大臣が定めた療養(選定療養)を受ける場合とがあります。いずれも7割部分が現物支給されます。
療養費
例えば、被保険者証を持たずに旅行して、旅行先で治療を受けた場合や、緊急でやむを得ず、健康保険の適用にならない病院・診療所で治療を受けた場合には、一旦治療費等の全額を負担して、後日、保険者に請求して現金で支給してくれるという制度です。会社が資格取得届の手続き中で被保険者証が未交付のため、保険診療が受けられなかったときなども含みます。
訪問看護療養費
自宅で療養している人が、かかりつけの医師の指示に基づいて訪問看護ステーションの訪問看護師から療養上の世話や必要な診療の補助を受けた場合、その費用が、訪問看護療養費として現物給付されます。 自己負担(ここだけ基本利用料といいます)割合は療養の給付と同じで3割です。
移送費
病気やけがで移動が困難な患者が、医師の指示で一時的・緊急的必要があり、移送された場合は、移送費が現金給付として支給されます。
高額療養費
重い病気などで病院等に長期入院したり、治療が長引く場合には、医療費の自己負担額が高額となります。そのため家計の負担を軽減できるように、一定の金額(自己負担限度額)を超えた部分が払い戻される制度です。ただし、特定療養費の差額部分や入院時食事療養費は支給対象にはなりません。なお、自己負担限度額は、通院と入院、その他の事由で異なります。
傷病手当金
傷病手当金は、病気やケガにより働けない休業中に、被保険者とその家族の生活を保障するために設けられた制度で、その間、会社から報酬が受けられない場合に支給されます。
支給額は、病気やけがで休んだ期間に、一日につき通常賃金(標準報酬日額)の6割に相当する額です。
埋葬料・埋葬費
被保険者が亡くなったときは、埋葬を行う人に埋葬料又は埋葬費が支給されます。支給額は、埋葬料が標準報酬月額の1か月分(10万円未満のときは10万円)であり、埋葬費は、埋葬料の範囲内で実費です。
出産育児一時金
被保険者が出産をしたときは、1児ごとに30万円が、出産育児一時金として支給されます。 双子なら60万円、3つ子なら90万円になります。なお、被扶養者が出産した時は、被保険者に家族出産育児一時金が支給され、その基準や金額は出産育児一時金と同じです。
出産手当金
被保険者が出産のため会社を休み事業主から報酬が受けられないときは、 出産の日(実際の出産が予定日後のときは出産の予定日)以前42日目(多胎妊娠の場合は98日目)から、出産の日の翌日以後56日目までの範囲内で会社を休んだ期間について出産手当金が支給されます。支給額は、1日につき標準報酬日額の6割に相当する額です。

<社会保険労務士 半沢公一>

20歳になり、国民年金の被保険者になりましたら、年金手帳が送られて来ました。この年金手帳の取り扱いについて、教えて下さい。

国民年金や厚生年金に加入すると年金手帳(基礎年金番号)が交付されます。年金に関する手続きは、この基礎年金番号により行いますので、就職や転職したときや、年金受給手続き等の際にも必要となります。 生涯使用しますので、無くしたり、汚したりしないように大切に保管して下さい。

記載内容の確認
年金手帳が送付されましたら、まず記載内容について確認して下さい。(1)氏名に誤りはありませんか、(2)生年月日に誤りはありませんか、(3)性別に誤りはありませんか、もし、誤りが見つかりましたら、市区町村の国民年金担当窓口か、又は最寄りの社会保険事務所に連絡して下さい。
年金手帳を無くしたとき
年金手帳を紛失したときは、あなたが勤務している場合なら、勤務先を経由して勤務先の所在地を管轄する社会保険事務所に、また、あなたが学生なら、本人であることを確認できるもの(免許証、パスポート、健康保険証など)を持って住まいの市区町村の国民年金の窓口で再交付の申請をして下さい。後日、年金手帳が送付されます。
年金手帳が複数あるとき
2冊以上の年金手帳を持っていると、年金の請求をする際に受給資格期間が不足して年金が減額されたり、もらえない場合やもらい忘れがありますので、社会保険事務所で1冊にする手続きをして下さい。

<社会保険労務士 半沢公一>

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