法律Q&A part 2

私の娘は19歳の大学生で、親元を離れて一人暮らしをしていますが、先日、学費として仕送りしたお金で、親である私に無断で高額なブランド品を買ってしまったとのことです。未成年者が親の同意を得ないでした契約は取り消せるという話を聞いたことがありますが、返品してお金を返してもらうことはできるのでしょうか。未成年者の取り消しの制度について教えてください。

未成年者(20歳未満の者、民法第3条)が、契約(売買契約、金銭消費貸借契約、賃貸借など)のように法律的な効果を生ずる取引行為を行うには、原則として法定代理人(通常は親権者である両親)の同意を得なくてはなりません。
同意を得ずに締結した契約は、法定代理人または未成年者本人が、単独で取り消すことができます(民法第4条2項)。
未成年者は年齢的に未成熟で判断能力が乏しいため、そのような未成年者を保護するために置かれた規定です。
取り消しの意思表示により契約は遡ってなかったものとなり、双方受領した金品は不当利得となるので、購入した商品を返品して支払ったお金を返してもらうことができます(なお、返品する商品については、現に利益を受ける限度で返せば足ります)。
但し、以下の場合には取り消しはできません。

  1. 贈与の承諾のように単に利益を得る行為、または債務を免れる場合のように単に義務を免れる行為は取り消すことができません(民法第4条1項但書)。
  2. 法定代理人が「小遣い」のように、使用目的を定めないで処分を許した財産を未成年者が自由に使った場合や、「学費」や「旅費」など、使用目的を定めて処分を許した財産を未成年者がその目的の範囲内で使った場合は、取り消すことができません(民法第5条)。
  3. 未成年者が詐術を用いて、自己を成年であるとか、法定代理人の同意を得ているかのように相手方に信じさせて契約した場合には、取り消すことはできません(民法第20条)。
  4. 営業を営むことを許された未成年者は、営業に関しては成年者と同一の能力を有するとみなされるため、当該営業に関して生ずる法律行為については取り消すことができません(民法第6条)。
  5. 未成年者が婚姻すると成年に達したものとみなされるので(民法753条)、取り消しはできなくなります。

未成年者が親から学費や家賃という一定の目的を指定されて仕送りを受けたお金で無断でブランド品を購入した場合、売買契約締結は目的の範囲外と考えられるので、取り消すことができると考えられます。但し、特に使途を定めないで小遣いとして仕送りをし、未成年者がそれを自由に使ったのであれば、取り消すことはできません。

<弁護士 山田恵>

高齢者虐待防止法について教えてください。

1.本年4月1日に、「高齢者虐待の防止、高齢者の養護者に対する支援等に関する法律」(以下「高齢者虐待防止法」といいます。)が、施行されました。同法は、「高齢者の虐待が深刻な状況に」あることから、高齢者虐待の防止等に関する国の責務、高齢者保護のための措置、養護者の負担の軽減など養護者に対する支援のための措置などを定め、高齢者の虐待防止等を図ることを目的としています(同法第1条参照)。

2. 同法の制定(平成17年11月1日)に先立ち、厚生労働省からの助成を受けた財団法人医療経済研究機構が「家庭内における高齢者虐待に関する調査」を行い、平成16年4月20日にその概要を発表しています。
調査の結果によりますと、虐待を受けている高齢者の平均年齢は81.6歳で、75歳以上85歳未満が最も多く43.3%ということです。虐待を行った者については、息子が32.1%と最も多く、次いで配偶者20.3%となっています。そして、虐待者の介護への取り組みは、60.6%が主な介護者として介護を行っており、そのうち介護に協力してくれる者がいたのは39.0%にとどまっています。
虐待の内容については、(1)身体的虐待、(2)心理的虐待、(3)性的虐待、(4)経済的虐待、(5)介護・世話の放棄・放任による虐待の五つに区分していますが、(2)心理的虐待が最も多く63.6%です。次いで(5)介護・世話の放棄・放任が52.4%、身体的虐待が50.0%と続きます。なお、生命に係わる危険な状態が、全体の10.9%あったとの結果も出ており高齢者虐待問題の深刻さが明らかになっています。このような状況を踏まえて制定されたのが、前記「高齢者虐待防止法」です。

3. 同法第2条は、65歳以上の者を「高齢者」とし、高齢者虐待の主体を(1)養護者と、(2)養介護施設従事者等としています。虐待の内容については、原則として、(1)身体に外傷が生じ、又は生じる恐れのある暴行を加えること、(2)高齢者を衰弱させるような著しい減食又は長時間の放置、(3)高齢者に対する著しい暴言又は著しく拒絶的な対応その他の高齢者に著しい心理的外傷を与える言動を行うこと、(4)高齢者にわいせつな行為をすること、又は高齢者をしてわいせつな行為をさせること、(5)高齢者の財産を不当に処分することその他高齢者から不当に財産上の利益を得ることとされ、前記5区分とほぼ同様ですが、(2)については、養護者に同居者の虐待行為防止義務を、養介護施設従事者等については職務上の義務懈怠違反を定め、また、(5)については高齢者の親族も虐待の主体とされています。これは、高齢者の財産を食い物にするのは養護者に限定されないからです。
(つづく)

<弁護士 岡治>

私は夫と話し合いにより離婚しました。その際、3歳の子の親権者を父として届出をしました。しかし、子どもはまだ幼いため、母親である私が子の面倒をみたいと思っています。親権者を父とした以上、私が子の面倒を見ることはできないのでしょうか。

未成年の子がいる場合で、父母が協議上の離婚をするときは、その協議で、その一方を親権者と定めなければならないとされています(民法819条1項)。ここで親権とは、未成年の子を監護教育し、財産を管理する親の権利義務をいいます。協議離婚の届出をする際、親権者を父親と定めて届け出た場合、戸籍には親権者として父親が記載されます。
離婚後、親権者となった相手方が病気になったとか暴力団が出入りしているなど、子どもの生育にとって良くない事情が判明した場合、家庭裁判所に親権者の変更を申立てることができます。
他方、子どもを実際に引き取って監護養育する者(監護者)を親権者とは別に定めることもできます。監護者をどちらにするかについては、離婚の際、届け出る必要はありませんし、戸籍にも記載されません。
監護権については、離婚が成立した後でも、当事者間の協議で親権者でない者を監護者とすることができますし、また、家庭裁判所に子の監護者の指定の審判を申立てて、家裁の判断にゆだねる方法もあります。
親権者・監護者を変更あるいは指定する家裁の審理においては、子の福祉を第一に優先して判断されることになります。子どもが0歳から3歳の乳幼児の場合、その監護養育は母親にゆだねるのが子の福祉に最も適うとの考え方から、母親が精神病であるとか生活環境が劣悪であるなど特別の事情のない限り、多くは母親が指定されることが多いようです。
また、子の年齢にもよりますが、専門的知識を有する家庭裁判所調査官が、子どもとの面談や心理テストを行い、その結果に基づき親権者の変更あるいは監護者の指定について裁判官に意見を述べることもあります。
なお、監護者とならなかった親は、子どもと定期的に合うことのできる面接交渉権について、その頻度等内容を決めるよう家裁に申立てることができます。

<弁護士 山田恵>

交際していた男性と婚約し、式場予約などして準備を進めていましたが、式の3ヶ月前になって、その男性から、他に好きな人が出来たので婚約を取り消したい、と言われてしまいました。準備にはかなり費用もかけていますし、私の精神的なショックも大きいのですが、何とかならないのでしょうか。

それでも結婚を望んでいるのであれば、「婚約履行請求」の調停を家庭裁判所に申し立てることができます。しかし、当事者間に合意が成立する見込みがない場合には調停不成立となり事件は終了します。
他方、相手方と別れる決心をした場合、正当な理由もなく婚約を破棄された事実があれば、経済的、精神的損害の賠償を相手方に請求する方法があります。
予約していた式場のキャンセル費用や新居の準備費用等、結婚のための仕度費用の他、婚約破棄により被った精神的苦痛に対する慰謝料を相手方に請求することができます。
単に他に好きな人ができたから、というだけでは正当な理由があるとはいえませんので、損害賠償の請求は可能でしょう。
また、結納金を渡していた場合には、婚約が破棄されると、受領した金銭は民法上の不当利得となると考えられますので、その返還も求めることができます(但し、公平の観点から、婚約が不成立となったことについて責任のある側が結納金を授与していた場合には、その返還を求めることはできません)。
慰謝料等の損害の賠償を請求する場合も、当事者の話合いで解決しない場合、家庭裁判所に慰謝料等の請求あるいは結納金の返還請求の調停を申立てることができます。
なお、いわゆる「結婚詐欺」として刑法上の詐欺罪に該当するといえるためには、結婚する意思がないのに、金品を騙し取る目的で、結婚するように信じさせ、金品を交付させようとしたことが必要で、金品を詐取する目的がなかった場合には、刑法上の詐欺罪に該当するとはいえません。

<弁護士 山田恵>

ギャンブルが未成年者に禁止されるのはどうしてですか。

1.ギャンブルには、賭博(とばく)と富くじがあります。「賭博」というのは、偶然の勝ち負けによって現金などの経済的利益を得たり失ったりすることを争うことを言います。「富くじ」も、賭博の一種といわれています。これは、異なる数字を記載した札をあらかじめ発売し、その後で抽選など偶然性を有する手段を用いて富くじを買った者の間に不平等な利益の分配をすることといわれています。
「賭博」も「富くじ」も刑法によって処罰の対象になっており、違法な行為とされています(刑法185条、187条)。処罰の根拠については、《1》他人の財産に対して危険をあたえるからという考えと、②労働による財産の取得という国民の健全な経済的生活の風習を堕落させるからという考えがあるといわれ、日本の刑法は、《2》の考えによっているとされています。(『刑法講義各論』大谷實著・成文堂498頁以下)
以上のとおり、ギャンブルは未成年者に禁止されているのではなく国民全てに禁止されているのです。ですから、賭けマージャンをすれば賭博罪で処罰されることになります。ところが、これには例外があります。

2. 地方公共団体が開催している公営ギャンブルです。公営ギャンブルには、公営競技(競馬、競輪、競艇、オートレース)と、公営くじ(宝くじ、スポーツ振興くじ)があります。これらについては、それぞれ法律に条件や内容が定められています。例えば、スポーツ振興くじについては、19歳未満の購入ならびに譲受が禁止されています。競馬法は、未成年者が勝馬投票券を購入し、又は譲り受けてはならないと定めています。自転車競技法は、学生生徒及び未成年者が車券を購入し、又は譲り受けてはならないと定めています。
ギャンブルは違法な行為であって刑法で処罰されるはずなのになぜでしょうか。前記のとおりこれらの公営ギャンブルは法律に定められています。その根拠は、主に地方財政のためとか経済政策のためとか言われています。これに対しては、財政確保などのためにギャンブルを認めてしまっては、先の処罰根拠は建前だけになってしまうのではないかという批判が向けられています。ちなみに、平成18年3月15日の朝日新聞には、経済産業省が売り上げが減少している競輪について自転車競技法を改正して20歳以上なら学生でも車券を買えるように改正するなどの関係法案を通常国会に提出したとの記事があります。

3. 公営ギャンブルならよくて、私的に賭けマージャンなどをやると処罰されるというのはどうも変ですね。また、19歳以上ならギャンブルができて、19歳未満はできないというのもわかったようで何やらよく理解できませんね。19歳未満は、未成熟で賭け事を覚えると勤労意欲を失い立派な大人になれないということかもしれませんが、では大人はどうなんでしょうか。もともとそういう趣旨で未成年、成人にかかわらずギャンブルを禁止し刑法で処罰の対象としていたのではないでしょうか。皆さんも考えてみてください。

<弁護士 吉岡譲治>

借金を抱えていた夫が死亡し、妻である私が相続人となりました。相続により借金も受け継ぐことになると聞きましたが、私としては借金を払える余裕はありません。返済しなくて済む方法はないでしょうか。

家庭裁判所に相続の放棄を申し立てれば、借金を免れることができます(民法938条〜940条)。すなわち、相続人(相続により権利・義務を受け継ぐ者)は、相続(死亡した者が所有していた財産上の権利義務を承継すること)が開始した後に、家庭裁判所に対し相続放棄を申し立てることにより、被相続人(相続財産を残して死亡した者)からの相続の効果を拒否することができます。 相続人は、被相続人が死亡すると同時に被相続人の相続財産を承継しますが、相続人の意に反して過大な債務まで相続させることのないよう、認められた制度です。
相続放棄をするには、被相続人の死亡を知った日の翌日から3ヶ月以内に、被相続人の最終住所地の家庭裁判所に相続放棄の申述書を提出します。 相続放棄により、初めから相続人にならなかったものとみなされ(民法939条)、放棄した者を除く他の相続人が相続することになります。
他方、相続財産に、借金の他、プラスの資産がある場合、限定承認(民法922条)の申述をすることにより、プラスの資産の限度で借金を返済し、なおプラスの資産が残っていれば承継するということもできます。
限定承認をするには、被相続人の死亡を知った日の翌日から3ヶ月以内に、被相続人の最終住所地の家庭裁判所に相続限定承認の申述書を提出します。ただし、限定承認の場合、相続人が複数いるときは、全員の合意が必要となります。

<弁護士 山田恵>

借りていたアパートの賃貸借契約が終了し、建物を明渡しました。しかし、借りる際に差し入れていた敷金を返してもらっていません。借りている間は賃料不払いもなく、また、特に部屋を汚したり破損したりもしていないのですが、敷金を返してもらうことはできないのでしょうか。

「敷金」とは、借家契約に際して借主から貸主に対して交付される金員で、賃貸借契約終了時に、未払賃料や建物に関する損害賠償債務があれば当然に敷金から控除され、残額が借主に返還されます。
賃貸借契約終了時、借主は賃借物について借主の負担において原状回復義務を負いますので(民法616条、597条1項、598条)、その費用相当額については敷金から差し引かれることになります。ただし、ここでいう原状回復とは、完全に契約締結以前の状態に戻すことまでは必要でなく、通常の態様で使用したことから当然生じる損耗・汚れについての回復義務は含まれないとされています。
入居時に作成する「賃貸借契約書」の中で、畳の表替えやクロスの貼替え等についてまで借主が原状回復義務を負うとする特約条項が定められることがありますが、多くの裁判例は、そのような原状回復特約について、借主の故意・過失、及び通常でない使用による損耗等の損害に限定されると解釈しています(名古屋地判H2.10.19、東京地判H6.7.1等)。畳・ふすま・壁等の変色・色落ち等は、借主が通常の使い方をしていても時間の経過に伴って発生する自然の損耗であり、原状回復義務の対象とはならないと考えられます。これらの張替え等を行うことは入居者の入れ替わりによる貸主の物件の維持管理上の問題であって、貸主の負担とすることが妥当と考えられるからです。なお、賃貸借契約書において、畳の表替え、襖の貼替え等について借主負担とする特約を定めることがありますが、このように、一定範囲の小修繕を借主負担で行う特約については、賃貸借契約継続中の貸主の修繕義務を免除することを定めたにとどまるものと解釈するのが妥当であり(名古屋地裁2.10.19等)、通常の原状回復義務を超えた新たな義務を退去時の借主に負わせる特約と解することはできません。
また、清掃料については、借主退去後に専門業者が入って行う清掃は、貸主が次の入居者を確保するという目的を有していることから、その費用は貸主負担とすることが妥当であり、借主が通常の使用をしている場合に発生する汚損については原状回復の対象とならないと考えられます。
したがって、原状回復費用として貸主が負担する範囲は、借主の故意・過失、及び通常でない用法により発生した損耗の補修費用相当分に限られると考えられるので、未払賃料がなく、また、故意や不注意、通常でない用法により部屋を汚したり破損したりしていないということであれば、敷金は返還されると考えられます。

<弁護士 山田恵>

看護師国家試験

私は、今年看護学校に入学し看護師を目指しています。看護師になるためには国家試験を受けて免許を得なければなりません。普通の職業では、国家試験を受けなくても仕事はできるのにどうして看護師は国家試験を受けなければならないのでしょうか。

保健師助産師看護師法(以下「保助看法」といいます)第7条は、「看護師になろうとする者は、看護師国家試験に合格し、厚生労働大臣の免許を受けなければならない」としています。
ある職業に就くために国家試験あるいはこれに準ずる試験に合格し免許を与えられなければならないものは医療職の他、弁護士や公認会計士あるいはボイラー技士、自動車整備士など多種多様です。
どうして、このような職業に就くのに免許が必要なのでしょうか。免許を与えるということは誰でもがその仕事ができるわけではないということですから、一定の者に限定されることになります。
例えば、ボイラー技士の場合ボイラーの整備が不完全であれば爆発や、出火の危険性がありボイラーが設置されたビルなどの安全性、更には人の身体生命の安全が脅かされます。また、企業や個人の財産を扱う仕事では、一歩間違えばその企業や個人の将来を破壊してしまう危険性をはらんでいます。そのために、その分野について専門に学んで一定の能力を有する者にのみ資格を与えその職業に就くことを許すこととしているのです。そうすることにより、これらリスクを回避し、顧客や利用者の信頼を得ることができるのです。
医療についても同様のことが言えます。特に医療行為は、医的侵襲行為と言われ患者の身体に対する人為的な侵害行為です。それが許されるのは、それが医療という正当な行為だからであり、仮に医療の名を騙って殺人を行おうとしたらそれは犯罪です。このように患者という人の生命身体に対する大きなリスクを負っているわけですから医療に従事するものは専門的な知識と能力を有していることが求められるのです。そして、それを担保するものが免許制なのです。
看護師でない者は原則として看護師として定められた業務をしてはならないことになっています(保助看法31条)。また、看護師は、業務上知りえた患者の情報を第三者に漏らしてはいけません(保助看法42条の2、秘密保持義務)。このように、専門職については、その業務の範囲や責任が厳格に定められるのが通常です。
あなたも、学校で看護の専門分野の知識、技能をしっかりと身につけて患者に信頼される看護師になってください。

<弁護士 吉岡譲治>

クーリング・オフ

訪問販売員が自宅に来て巧みに勧められ、ふとんを購入しました。しかし、後で落ち着いて考えると、高額で、買わなければよかったと後悔しています。 商品を返品して、既に支払ったお金を返してもらうことはできるでしょうか。

訪問販売や電話勧誘によって商品を購入した場合、一定の要件を満たせば、法定の期間内に限り、理由を問わず契約を解消することができます。これをクーリング・オフといいます。訪問販売や電話勧誘販売は、消費者が熟慮する期間を経ずに契約をしてしまうことが多いことから、消費者を保護するために設けられた制度です。
但し、通信販売については、熟慮する期間があったものと見なされ、クーリング・オフの適用はありません。 クーリング・オフにより契約を解消すると、契約は初めからなかったこととなるので、既に支払った代金は返還され、商品の返還に要する費用も業者負担となります。
要件としては、訪問販売により、特定商取引法に基づく政令で、クーリング・オフができる商品・役務(サービス)・権利として指定されたものについて契約した場合で、法定の書面を受領した日から8日以内であること(初日含む)、化粧品等、政令で指定された消耗品の場合は、使用・消費していないことが必要です。
契約解除は文書によることが必要です。郵便局で内容証明郵便を出すのが確実です。
なお、クーリング・オフの期間が開始するためには、業者が法廷の書面を交付する必要があるなど「権利行使障害要件」が定められていますので、8日を過ぎてもとりあえず通知を出しておくことをおすすめします。

【契約解除通知文例】

契約解除通知

私は、平成○年○月○日に、貴社と締結しました○○○(商品名)の購入契約を解除します。支払った金○○円については、直ちに下記口座に振り込んでください。
○○銀行 ○○支店
普通預金口座 口座番号○○○
口座名義 ○○○○

東京都○○区○○町○丁目○番○号(差出人住所)
○○ ○○(差出人氏名)
千葉県○○市○○町○丁目○番○号(宛先)
(株)○○
代表取締役○○ ○○ 殿

平成○年○月○日

<弁護士 山田恵>

貸金返済の確保

友人から、10万円を貸して欲しい、あとで必ず返すから、と言われていますが、私としては、本当にきちんと返してもらえるのかどうか不安です。貸し借りについて何か書面を残しておいたほうがよいのでしょうか。

金銭の貸し借りについての契約(金銭消費貸借契約といいます)は、書面を作成していない場合でも有効です。しかし、後にお金を返してもらえなかったときに法的な手段に訴える可能性を考えると、貸し借りの証拠となる書面を残しておいた方がよいでしょう。
契約書面には以下の要件を記載しておきます。

  • 貸した金額と日付
  • 返済期日、支払方法 ・利息、遅延損害金(※注1)
  • 保証人その他担保を付けるのであればその定め
  • 最後に貸主と借主(保証人がいる場合は保証人も)の住所氏名を各自記入し、押印します。

「必ず返すから」と言われても、返済の約束については明確に期日や返済方法を定めておくことが必要です。
市販の「金銭消費貸借契約書」や「借用証書」を利用するのも一つの方法です。
より確実な返済を求めるのであれば、「公証役場」に行って公証人に「公正証書」を作成してもらう方法もあります。公正証書に「強制執行認諾文言」 (※注2)が記載されていれば、返済してもらえなかった場合に、裁判所に訴えて判決をもらうことなく直ちに強制執行をすることができます。
他方、貸し借りの際上記のような書面を作っておかなかった場合には、受領書や振込控えが残っていれば、金銭のやり取りがあったことの最低限の証拠にはなります。
友人同士の貸し借りであっても金額の多寡にかかわらずきちんとした書面を作成しておくことは、後々自分が不快な思いをしないためにも大切なことです。

  • 注1 弁済期に弁済がなかった場合に発生する損害で、当事者間で決めた利率がなければ法定利率(民法上は年5%)によります。
  • 注2 「債務を履行しなかった場合は直ちに強制執行を受けても異議がないことを認 諾」との文言をいいます。

<弁護士 山田恵>

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