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安全対策
実習生が係わる賠償事故の法的責任
実習と静脈注射についての法的考察
実習と患者の個人情報の取扱いについて
個人情報の取扱いについて
看護師の業務としての「診療の補助行為」についての考察
3・補償制度と事故例

看護師の業務としての「診療の補助行為」についての考察

III. 医師法との関係について

「医師法17条」と「保助看法37条」の相対的関係

 医師法17条は「医師でなければ、医業をなしてはならない。」と規定し、医師でない者の医行為を禁止している。診断、手術、処方といった医行為については、高度な医学的知識、経験、技術を有する医師自身が行うのでなければ、『健康危害』を生ずるおそれがあり、医師の具体的指示があったとしても看護師がこれを行うことは許されない。
一方、保助看法37条は、医師の指示があれば、看護師が診療器械の使用、医薬品の授与その他の医療行為を行うことを許容している。この点で、医師の業務と看護師の業務とは重なり合う。(図1参照)

図1・看護師の業務

 一般に、「療養上の世話」といった看護師本来の業務を「絶対的看護行為」、看護師が診療の補助として行える行為を「相対的医行為(相対的看護行為)」、医師のみが行える行為を「絶対的医行為」という区分がなされている。(図2参照)

図2・医師と看護師の関係

 しかし、「療養上の世話」と「診療の補助」との区別が相対的であったように、「絶対的医行為」と「相対的医行為」との区別も絶対的なものではない。先に示した静脈注射についての行政解釈の変更の例からも明らかなように、『看護師』の専門的知識及び技術の向上、時代的要因、国民の理解等により変化する。今後の医療機器の発達、看護教育、研修、研鑽の充実に伴い、看護師の業務範囲はますます拡大していくものと考えられる。
 平成18年の法改正により、看護師の「名称独占規制」が導入され、平成19年4月1日以降、看護師以外の者が看護師の名称を用いることが禁止された。法改正は、看護師の専門性をより高めるものであると評価できる。
 以前は、医師と看護師との関係について、自ら判断し指揮監督する『医師=頭脳』、それに従って診療補助行為をする『看護師=手足』という図式(看護師手足論)で捉えられていた。古い裁判例だが、調剤に関する事例で「自己が当然になすべき職務行為の一部を自らの『手足におけるのと同一の関係』において担当せしむるもの」と判示した(大判昭13・10・14)ものが存在する。この考え方は、専門職である看護師の地位を十分に理解しないものであるが、一方で、法的責任を免除するための理論として機能していたことも事実である。看護師の専門性が認められれば、それに見合う法的責任が課せられることを忘れてはならない。
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